多くの一般家庭に必ず1本は常備されている「KURE556」。金属の錆落としや潤滑剤として幅広く使えるので重宝しているご家庭も多いのではないでしょうか。
この万能なスプレーですが、使用を控えた方が良いケースもあることをご存じですか。初めて聞いた方は驚かれるかもしれませんが、玄関の鍵の動きが悪い場合に「KURE5-56」を使うことは絶対にやってはいけないことなのです。
この記事では鍵穴にKURE556のスプレーを使用してはいけない理由や、もしもうっかり使用してしまった場合の対処法について解説します。ぜひ参考にしてください。
玄関の鍵にKURE556を使っても大丈夫？
先に結論からお伝えしてしまうと、玄関の鍵にKURE556を使用することはあまり良いとは言えません。KURE556は幅広い用途で使用できる優れた製品ですが、鍵穴に使用すると鍵穴の状態が悪化する可能性があるのです。
一見KURE556を鍵穴に使っても問題なさそうに思うかもしれませんが、実際はそうではありません。まずKURE556の概要や注意点について説明します。
KURE556とは？
KURE5-56は呉工業株式会社の主力商品です。防錆・潤滑・清浄・防湿といった幅広い用途に使用することができます。さらに自動車やオートバイ、自転車などにも使用できますし、電動工具や精密機械にも利用できます。
特徴としてはKURE5-56の粒子は非常に細かいため、浸透性が優れていると言えます。また、揮発性が高いのでスプレー後に油が残ることがありません。
その使い勝手の良さや幅広い使用用途に加え、手ごろな価格設定も魅力があり、多くの家庭でメンテナンス用として常備されています。
KURE556の使い方と注意点
KURE556は金属の錆防止や可動部の潤滑のための防錆剤・潤滑剤です。オイル系の溶剤をスプレーで吹き付けて使用します。
動きの悪い金属部分にスプレーをして、潤滑油を均等になじませるようにゆっくりと動かしましょう。スプレーを吹きかけることで可動部に油が浸透し、動作が滑らかになります。またKURE556には洗浄効果もありますので、金属の道具や部品にスプレーしてから拭き取ることで、汚れを落とすことが可能です。
使用する際の注意点としては、KURE556に含まれている石油系溶剤による引火の危険性が挙げられます。そのため、使用する場所で火気があるかどうかを確認してください。ライターやランプなどの火気が近くにないことを確認してから使用しましょう。
さらに石油系溶剤はゴムやプラスチックを溶かしたり、塗装を変質させてしまう可能性がありますので、窓サッシや塗装済みの門扉などには使用できません。
KURE556を鍵穴に使ったらどうなる？
KURE556を鍵穴に使用すると、最初は潤滑油により鍵と鍵穴の滑りが良くなるので症状が改善されたように感じるかもしれません。しかしこれは一時的な効果であり、長期的には問題を引き起こす可能性があります。
KURE556に含まれる油分は時間とともに鍵穴内部にホコリやゴミを引き寄せてしまうのです。そして油と混ざったホコリは固まってドロドロの塊になります。
固形化した汚れが鍵穴内部に蓄積すると鍵が回りにくくなり、劣化が進むと鍵が完全に回らなくなる可能性もあるため注意が必要です。無理に継続して使用し続けると、油が鍵穴から漏れ出し、黒い汚れが垂れることもあります。
このような状態になった場合は「分解洗浄」をしても完全に油を取り除くことが難しく、シリンダーの交換になるケースもあります。以上の理由からKURE556を鍵穴に使用することは避けるべきでしょう。
鍵が固くなり回らない場合は、鍵業者に相談するのがおすすめです。
鍵穴にKURE556を使ってしまった時の対処法
鍵穴にKURE556を使用してしまった場合や鍵が回らなくなった場合、以下の対処法を試してみてください。
①鍵穴のゴミを取り除く
鍵穴のゴミを取り除きましょう。方法は2つあります。
- ・掃除機を使用する方法
- ・エアダスターを使用する方法
掃除機を使用する方法は、掃除機の先端を鍵穴に当てて吸引力を使ってゴミを取り除きます。掃除機の吸引力によって鍵穴からゴミを吸い取ることが可能です。
エアダスターを使用する方法は、鍵穴に向けて高圧の空気を噴射してゴミを取り除きます。空気の力で鍵穴に詰まったゴミを吹き飛ばすことが可能です。
しかし、細かいゴミや固まったゴミは完全に取り除くのが難しい場合もあります。そのような場合には、プロの鍵屋に相談して専門的な清掃を依頼することをおすすめします。無理な力を加えたり適切な道具を使用しなかったりすると鍵穴を傷つける場合があるので注意しましょう。
②鍵穴を洗浄する
鍵穴の汚れを取り除いたら、次はパーツクリーナーで洗浄しましょう。
作業を行う前にドアから鍵穴を取り外します。パーツクリーナーを鍵穴と裏側にたっぷりと噴射してください。パーツクリーナーは油汚れを分解し、ゴミや固まった汚れを取り除く効果があります。
パーツクリーナーが鍵穴から溢れた場合は、雑巾などでしっかりと拭き取りましょう。周囲の表面にパーツクリーナーが残留すると、汚れやホコリが再度付着してしまう可能性があるので、きれいに拭き取ります。
洗浄が完了したら鍵を鍵穴に挿入して回し、動作を確認します。鍵がスムーズに回り、汚れが付着せずに動作する状態であれば、洗浄は成功です。
③鍵穴専用の潤滑剤を注入する
鍵の動きを改善するためには、鍵穴専用の潤滑剤を注入することが効果的です。まず鍵を乾いた状態にします。水分や汚れがあると、潤滑剤の効果が低下する可能性があるからです。
鍵穴専用の潤滑剤を鍵穴に0.5秒ほど注入します。潤滑剤を鍵穴にスプレーする際は過剰に使わず、適量を使うように注意しましょう。鍵を数回抜き差しして、潤滑剤を均一に鍵穴全体に行き渡らせます。これにより、鍵と鍵穴の摩擦が減ってスムーズな動作が期待できるでしょう。
潤滑剤が鍵穴周囲に残留すると、汚れやホコリが付着して逆効果となることがありますので注意が必要です。
KURE556と鍵穴用の潤滑剤との違いは？
KURE556と鍵穴用の潤滑剤は、両方とも金属の動作をスムーズにするための潤滑剤ですが、使用方法や特性に違いがあります。
違いや特徴を以下の表にまとめてみました。
鍵穴にKURE556を使用すると粘着性のある皮膜が形成され、ホコリやゴミが付着する可能性が高くなります。鍵穴の乾燥を保ちながら鍵の動きをスムーズにするためには、専用の鍵穴用潤滑剤を使用しましょう。
【まとめ】KURE556を鍵穴に使用しないで！正しいメンテナンスを定期的に行おう
玄関の鍵穴にKURE556を使用することはできるだけ避けましょう。理由は以下の通りです。
- ・KURE556には油分が含まれており、シリンダー内に残留するとゴミや埃が詰まる恐れがある
- ・KURE556の石油系溶剤はゴムやプラスチックを溶かしたり塗装を変質させてしまう可能性がある
鍵の動作が悪くなった場合にはKURE556を使用せず、鍵穴専用の潤滑剤を使うことが望ましいです。既に使用してしまった場合には、不具合が起こる前に早めに信頼できる鍵業者に相談するのが良いでしょう。
