はじめに

12月に入り、年末に向けて店舗やオフィスの大掃除や設備点検を行う時期となりました。寒さも本格的になってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

店舗やオフィス、マンションのエントランスなど、私たちの身近にある自動ドア。日々何気なく通り過ぎていますが、実は自動ドアの鍵には特有のトラブルが潜んでいることをご存知でしょうか。

鍵屋として現場で数多くの自動ドアを見てきた経験から、今回は自動ドアの鍵に多いトラブルとその原因、そして対策について詳しく解説します。

 

自動ドアの鍵はなぜ下部にあるのか

まず、自動ドアの鍵がなぜドアの下部に取り付けられているのかを理解しておきましょう。

自動ドアは、扉が上部のレールから吊り下げられている構造になっています。下部のガイドレールは扉が外れないように補助する役割を果たしているだけで、扉自体を支えているわけではありません。このため、錠前を設置できるのは下部しかなく、デッドボルトが床面に向かってロックする仕組みとなっています。

この構造自体は合理的なのですが、実はこれが様々なトラブルの元凶となっているのです。

自動ドアの鍵に多いトラブルとその原因

  1. ゴミ、ホコリによる詰まり

自動ドアの鍵穴が下部にあるということは、常に地面に近い位置にあるということです。店舗や病院など人の出入りが多い施設では、歩行者が巻き上げる砂やホコリ、道路からの風による異物が鍵穴に入り込みやすい環境にあります。

特に道路に面した店舗では、この問題が顕著です。営業中は一日中人の出入りがあり、砂埃が常に舞っている状態。雨の日には泥水が跳ねて鍵穴周辺に付着することもあります。こうした環境では、鍵穴内部に自然とゴミが蓄積されていくのです。

  1. 鍵が折れる最大の原因

鍵穴にゴミが詰まった状態で鍵を使い続けると、徐々に鍵の回りが悪くなってきます。ここで多くの方がやってしまうのが力任せに回そうとすることです。

鍵穴が下部にあるため、施錠時には前かがみになって鍵を操作することになります。この姿勢では力の入れ具合がコントロールしにくく、また急いでいる時などは特に、必要以上の力を加えてしまいがちです。結果として、内部で鍵が折れてしまうトラブルが非常に多く発生しています。

鍵が鍵穴の中で折れてしまうと、状況はさらに深刻になります。最悪の場合、鍵穴を破錠しなければならず、特にGOAL社製の棒鍵などは破錠すると錠前全体の交換が必要になります。自動ドアの錠前交換では扉の脱着作業が必要となるため、費用も時間も大幅にかかってしまうのです。

 

  1. MIWA DGシリーズの特徴と進化

自動ドア用の錠前として最も普及しているのが、MIWA、美和ロックのDGシリーズです。このシリーズには旧型と新型があり、それぞれに特徴があります。

DG、旧タイプの特徴は、鍵穴が縦向きに配置されていることです。このタイプは扉を外さないと鍵交換ができないため、メンテナンス性に課題がありました。

DG2、新タイプでは、鍵穴が横向きに改良され、扉を外さなくても鍵交換が可能になりました。これにより作業時間が大幅に短縮され、コストも抑えられるようになっています。

その他にも、サッシメーカー仕様のDGSP、防犯性の高いPRシリンダー、強化ガラス扉用のTRFなど、用途に応じた様々なタイプが存在します。

 

実際の作業事例

先日、ある店舗の自動ドアの鍵交換作業を行いました。お客様から鍵の回りが悪くなり、時々引っかかるようになったとのご相談を受け、現地で確認したところ、旧型のDGタイプが使用されていました。

このタイプは鍵穴が縦向きで、扉を外さなければ鍵交換ができません。

自動ドアの扉の脱着作業は一人での作業は危険です。そこで二人体制で慎重に脱着作業を行いました。扉を上部のレールから外し、安全な場所に移動させてから錠前を交換し、再び取り付けるという工程は、専門の知識と経験、そして適切な工具が必要となります。

実際の作業写真です*取り外した後の自動ドア

 

*別日の別作業の自動ドアです。このようにシリンダー部分を取り外して交換が完了する場合もあります。

このような作業は、個人の小さな鍵屋では対応が難しい場合があります。

自動ドアの鍵交換をお考えの際は、複数のスタッフと豊富な経験を持つスターキーロック株式会社にご依頼いただくことをお勧めします。

当社では、様々なタイプの自動ドアに対応しており、迅速かつ確実な作業を提供させていただきます。

 

 

鍵が折れる前兆を見逃さない

自動ドアの鍵トラブルは、突然発生するわけではありません。必ず前兆があります。以下のような症状が現れたら、すぐにメンテナンスが必要なサインです。

鍵の抜き差しが重くなってきた 鍵を回す時に引っかかる感じがする 鍵穴に鍵が入りにくい サムターンが固くなってきた 鍵を回す時に異音がする

これらの症状を放置すると、やがて鍵が折れたり、鍵穴が完全に詰まって開かなくなったりします。早めの対処が何よりも重要です。

 

正しいメンテナンス方法

やってはいけないこと

自動ドアの鍵に限らず、鍵穴のメンテナンスで絶対にやってはいけないことがあります。それは一般的な機械油やCRC、シリコンスプレーを使用することです。

これらの油系潤滑剤を使用すると、一時的には動きが良くなったように感じますが、時間が経つと油分にホコリやゴミが付着して固まり、かえって症状を悪化させてしまいます。鍵穴専用以外の潤滑剤は、絶対に使用しないでください。

正しいメンテナンス手順

ステップ1 清掃

まず、鍵穴内部のゴミを除去します。掃除機を鍵穴に当てて左右に振りながら吸い出すか、エアダスターやブロワーで吹き飛ばします。鍵本体も歯ブラシなどで汚れを落としましょう。

ステップ2 潤滑

清掃後は、必ず鍵穴専用の潤滑剤を使用してください。MIWA製の鍵であればMIWA 鍵穴用潤滑剤、その他にもKABAクリーナーやWD-40など、速乾性で粉末状になるタイプの潤滑剤を選びます。

潤滑剤を使用する際のポイントは以下の通りです。

鍵穴が完全に乾燥している状態で使用する、雨の後などは避ける 噴射は1秒程度、少量にとどめる 潤滑剤を入れた後、鍵を数回抜き差しして馴染ませる 余分な潤滑剤はしっかり拭き取る

ステップ3 応急処置としての鉛筆法

専用の潤滑剤が手元にない場合の応急処置として、2B以上の濃い鉛筆を使う方法があります。鉛筆の芯に含まれる黒鉛が潤滑剤の役割を果たしてくれます。鍵の切り込み部分を鉛筆で強くなぞり、数回抜き差しするだけで、一時的に動きが改善されることがあります。

ただし、これはあくまで応急処置です。根本的な解決には、やはり専用潤滑剤による定期的なメンテナンスが必要です。

定期メンテナンスの重要性

自動ドアは高頻度で開閉される設備です。一般的な店舗であれば、営業日には数百回から数千回も開閉を繰り返しています。そのため、消耗も早い ということです。

鍵のメンテナンスは、6ヶ月に一度を目安に実施することをお勧めします。

特に以下のような環境では、より頻繁なメンテナンスが必要です。

道路に面した店舗 海の近く、駅前など人の出入りが特に多い施設

 

プロに依頼すべきタイミング

以下のような状況になったら、自己対処は避けて専門業者に依頼することをお勧めします。

鍵穴の中で鍵が折れてしまった メンテナンスをしても症状が改善しない 鍵穴に接着剤などの異物が入れられた形跡がある サムターンが全く動かなくなった 10年以上同じ鍵を使用している

特に鍵が折れた場合は、自分で抜くのは出来ません。専門の工具と技術が必要な作業ですので、プロに相談・依頼してください。

まとめ

自動ドアの鍵は、その設置位置から宿命的にトラブルが起きやすい構造になっています。しかし、正しい知識と定期的なメンテナンスによって、これらのトラブルの多くは予防することができます。

鍵屋として最後にお伝えしたいのは、違和感を感じたら早めの対処をということです。小さな違和感を放置した結果、大きなトラブルに発展するケースを数多く見てきました。少しでも鍵の動きに異常を感じたら、メンテナンスを実施するか、専門業者に相談してください。

自動ドアの鍵は、建物の防犯性を守る重要な役割を果たしています。適切な管理とメンテナンスで、長く安心して使い続けられる環境を整えていきましょう。

 

スターキーロック株式会社では、自動ドアの修理・鍵交換も承っております。

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