従来の「ピッキング」に代わり「サムターン回し」が主な空き巣の手口として広まっています。
今回はサムターン回しの被害を未然に防ぐためにできる対策について解説します。
空き巣被害に対抗するための知識を身につけ、被害を未然に防ぎましょう。
サムターン回しとは?
「サムターン」とは、室内側から扉の鍵を開閉するための「つまみ」を指します。
通常、玄関の鍵は外部から鍵なしでは開けることができませんが、室内側からは容易に開けることができる構造となっています。この仕組みの脆弱性を利用して行われる手口が「サムターン回し」です。
警察庁のデータによれば被害件数のピークを迎えた2000年以降、少しずつ被害件数は減少しているものの、それでもなお空き巣の手口の一環として広く知られています。
古い住宅ではまだ鍵が古いままの場合が多いので侵入が容易にできてしまうケースも多くあります。
まだ対策をしていない場合には、早めに何らかの策を講じることが肝心です。
サムターン回しの手口
サムターン回しの手法は多岐にわたります。
ここでは代表的な5つの手口をご紹介します。
ドアスコープから工具を入れて開錠
訪問者を確認するためのドアスコープを外し、その隙間から細い道具を挿入して開錠します。ドアスコープはペンチやドライバーなどを使用すれば外部から簡単に取り外すことができるのです。
ドアスコープを取り外して細い器具を挿入し鍵を開ける行為は、周囲に目撃者がいれば疑われる可能性がありますが、実際の作業ではあまり大きな音を立てずに済むので、侵入者にとってのリスクは比較的「低」です。
郵便受けからサムターンを回して開錠
ドアに郵便受けが取り付けられている場合、郵便受けから工具を差し込んでサムターンを回す手口が報告されています。
玄関ドアに郵便受けが付いているタイプの玄関の場合には、何らかの対策が必要です。
穴を空けて開錠
ドアに隙間がない場合、サムターン回しを行うためにドアに穴を開けることがあります。
よくある手法としては、ドアノブの近くにドリルを使用して穴を開ける方法です。
しかし、ドアにドリルで穴を開ける行為は非常に大きな音を伴います。
さらに、目撃されれば不審者であることが確実であり、侵入者にとっては高いリスクを伴う行動です。
この手法は、ドアが木製で比較的短時間で開けられること、また周囲の状況を調査済みで人がいない時間帯を把握している場合に実行されるケースが多いでしょう。
ドアの隙間に工具を入れて開錠
先端が曲がった細い棒を使い、5mm程度のドアの隙間に入れて開錠する方法で、錠前のタイプによってはピッキングよりも簡単に鍵を解除することができます。
この工具を使用することでドアに穴を開けることなく侵入でき、痕跡がほとんど残らず、かつ音もほとんど発生しません。
したがって、周囲の人にも気付かれにくく、空き巣犯罪が実行されやすいのです。
被害を防ぐために、ドアの隙間にも何らかの対策が必要です。
サムターンの被害に遭ってしまったら
被害に遭ってしまった場合の手順を見てみましょう。
この手順に従って冷静に対応することで犯人特定や再発防止に向けた対策を取ることが可能です。
1.警察への通報
まず最初に、警察に通報しましょう。
侵入された可能性があるならば、家に入らずに外部から通報するのが良いでしょう。
2.安全確保
家の中に空き巣や侵入者がいる可能性があるため、安全を確保するために家に入らず、外で警察の到着を待ちましょう。
周囲に注意を払いながら待機することが肝心です。
3.警察の指示に従う
警察が到着するまで待機し、指示に従って行動します。
自己判断での行動は控えましょう。
4.室内のものには触らない
被害の痕跡を消さないために、警察が到着するまで室内のものに触らないようにしましょう。
犯人逮捕につながる証拠が残っている可能性があるため、触らずに待ちます。
5.警察の調査
警察が到着したら被害状況を説明し、盗難された可能性があるものを確認します。
警察の指示に従い、事情を正確に伝えましょう。
6.盗難届出証明書の取得
警察が被害状況を確認した後、盗難届出証明書を取得しましょう。
これは後の不正利用防止や保険の申請に必要な重要な書類です。
サムターン回しを防ぐための対策
サムターン回しの手口への有効な対策にはどんなものがあるのでしょうか。
詳しく解説します。
防犯用のサムターンに交換する
高度な防犯対策仕様のサムターンに変更することが最も有効です。
例えば、スイッチを押しながらでなければ回せないスイッチ式の防犯サムターンや、サムターンに鍵を挿した状態でないと回転しない空転式の防犯サムターンなどがあります。
これらの仕様によって、通常の方法ではサムターンを操作できないようになり、セキュリティを大きく向上できるでしょう。
防犯用のドアスコープ・ポストへ取り替える
外側からドアスコープを外すことができないように、外れないようなドアスコープに交換することも有効です。
さらに、室内の様子を外から見られないよう、ドアスコープにカバーを取り付けましょう。
これによってドアスコープを外されることなく、室内のプライバシーも守ることができます。
郵便受けは外側から室内が見えないようなデザインのものを取り付けると良いです。
室内の郵便受けには南京錠などを取り付けることで工具が郵便受けで阻止され、サムターンに到達するのを防ぐことができます。
補助錠を設置する
玄関のセキュリティ向上のために効果的な手段として『ツーロック』があります。
犯人は通常5〜10分で犯行を断念する傾向があります。
鍵の数を増やして不正侵入までの時間を延ばすことで犯人への障壁を高め、被害を未然に防ぐことができます。
戸建て住宅では新しく鍵を追加することは簡単にできますが、物件によっては補助錠の取り付けに規則があることもありますので、取り付ける前には管理会社や大家に必ず相談しましょう。
市販の補助錠には、室内から施錠できるタイプや室外から施錠できるタイプなどがあります。
外出時の防犯対策として利用したい場合は、設置したい補助錠のタイプを確認してから購入するようにしましょう。
まとめ
サムターン回しの被害を防ぐためには以下の対策が有効です。
・サムターン交換
・ドアスコープやポストの対策を行う
・補助錠を設置する
これらの対策を組み合わせて実施することで、空き巣被害を効果的に防ぐことができます。
いつ自分の家が狙われるかはわかりません。
防犯対策を実施することで、重要な資産だけでなく、大切な家族を守ることができます。
被害に遭ってからでは遅いのです。
先延ばしにせずに早めに取り組むことをおすすめします。
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