予期せぬ状況は突然やってきます。そんな時に必要となるのが鍵業者ですが、数多くの業者の中から信頼できる業者を選ぶのは非常に大変です。
中には悪徳な業者も存在しており、相場と比較して高額な請求が行われることもあるため、注意しなければいけません。
依頼する側が、依頼する前に「悪徳業者の実態や手口」を知ることで、ぼったくり被害を防ぐことができます。万が一の際に安心して依頼できるよう、信頼性を見極める方法などを把握しておくことは非常に重要です。
この記事では、一般的な鍵開けの費用相場と悪徳業者の見分け方について解説します。
鍵の開け方によって費用が変わる
玄関の鍵にはさまざまな種類があり、開錠にかかる費用も異なります。
ここでは、一般的な鍵開け費用の目安をご紹介します。
ピッキングによる解錠
ピッキングは、鍵穴に特殊な工具である「テンション」と「ピック」を挿入して解錠する手法です。費用は約5,000円~15,000円程度とされています。
この方法は、鍵穴が「くの字型」のディスクシリンダーや、片側だけにギザギザのあるピンシリンダーといった比較的容易に開錠できる鍵に用いられます。
ただし、鍵穴が縦型でくぼみのあるディンプルシリンダーの場合、ピッキングの難易度が高まり、結果的に費用も上昇する可能性があります。
※なお、ピッキング行為は「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」で禁止されています。正当な業務理由がある場合に限り、錠前技師のみが行うことが許可されています。したがって、一般の方が行うのは法律に違反する可能性もあるため注意しましょう。
サムターン回しによる解錠
サムターン回し解錠は、室外から特殊な工具を使用してドアスコープなどからサムターンを回転させ、ロックを解除する手法です。費用は約12,000円から30,000円程度とされています。
この方法では、穴を開ける際に電動ドリルなどが使用されます。さらに、ドアの隙間から特殊な工具を挿入してサムターンを回す手法もあります。
破壊による解錠
破壊による解錠は、物理的に鍵を壊してドアを開ける手法です。費用は約15,000円から40,000円程度とされています。この方法を使う場合、新しい鍵との交換が必要となるので、高いセキュリティを持つ鍵を壊す場合には費用が高額になります。
また、破壊の際にはドアのハンドル部分なども損傷する可能性があります。さらに、作業中に大きな音が発生するため、深夜作業が不可の業者も多いため、その点に留意しましょう。
窓の解錠(窓から侵入して玄関ドアを開ける)
窓の解錠にかかる費用は約15,000円から20,000円程度です。業者によっては、窓の外側から鍵を開ける技術を有しているところもあります。
窓を損傷せずに解錠するための専用道具を用いることで、窓を割ることなく、かつ玄関の鍵を損傷させずに解錠が可能です。玄関の鍵が高度なセキュリティを持っている場合やピッキングが難しい場合に有用な手法となります。
ただし、対応可能な窓は基本的に引き違い窓についている「クレセント錠」(フックを上げ下げして開閉するタイプ)に限られます。また、窓の解錠に対応できる業者が少ないため、探すのが容易ではないかもしれません。
なるべく正確な見積もりをもらうには?
電話で問い合わせた際に、より正確な見積もりを出してもらうためには、以下の項目について詳しく伝えることが大切です。
- ・鍵の形状やメーカー
- ・発生している症状や原因
- ・住宅の種類(戸建てか集合住宅か)
- ・必要な開錠の鍵穴の数
- ・ドアスコープの有無
これらが把握できれば、はじめの見積もりの際に限りなく実質に近い金額を算出できます。どんなに優良な業者でも、問い合わせの際にしっかり状況を聞くことが出来なければ、正しい見積もりをお出しすることはできません。
問い合わせをする際には、まず上記の内容をまとめてから相談することをおすすめします。
鍵開け費用で損しないためのポイント
鍵開けや鍵作成に関する費用は一概に安くはなく、業者ごとに異なるため、「損しているのではないか」と不安に感じることもあるでしょう。
鍵開けや鍵作成の費用を抑えるためのポイントを以下にまとめました。
- ・事前に見積もりで休日料金などを含めた総額を確認する
- ・見積もりが無料の業者を選ぶ
- ・鍵開けや鍵作成の相場をある程度知っておく
- ・見積もり後に追加で費用が発生しない業者を選ぶ
特に、地域の個人業者に依頼する場合は広告費用がかからない分、安価な価格設定である場合も多いですが、必ずしも低価格とは限りません。競争がない地域では、あえて高額に設定されていることもあるため、必ず相見積もりをすることが重要です。
また、費用相場を知るだけでなく、最高額を確認することも「損しないポイント」になります。異なる業者からの見積もりを比較し、料金だけでなく電話対応や現場到着までの時間も考慮して、納得いく業者に依頼するようにしましょう。
ぼったくり鍵屋であるか見極める方法
最後に、ぼったくり業者に騙されないよう、良い業者かどうかを見極める方法について解説します。
料金表示や見積り説明がハッキリしない
料金表示や見積りの説明が曖昧で、最低金額しか言ってこない場合は要注意です。
料金について詳細に説明していない業者は、Webサイトを見ても「鍵開け8,000円」といった低い金額しか表示されていないケースが多く、施工後に「あれは最低料金です、今回は〇〇だからこの金額になります」といった具合で、高額な料金を提示してきます。
後から嫌な思いをしなくてもいいように、初めから料金についてはしっかり確認することが大切です。
話をろくに聞かずにすぐ現場に来たがる
鍵開けと一口に言っても、鍵の状態や発生している具体的な問題によって必要な対応が異なります。さらに、鍵を開ける対象が依頼者自身の所有物であるか、賃貸やレンタル物件であるかによっても対応が異なります。
鍵の種類や状態、取り付けられている建物や車両の状態を正確に確認してこない業者や、とりあえず現場に行かないとわからない、といった対応をしてくる業者は避けましょう。
「確認を行わずに作業を引き受ける」のはプロの仕事ではありません。プロは作業前に入念に情報をヒアリングし、必要な手順や資材をしっかりと準備してから現場に向かいます。
会社概要がはっきり明記されていない
どの業種であっても、悪徳な業者は住所や電話番号を隠したがります。そもそも悪徳な業者だからこそ、ホームページの会社概要に関する情報が不足していたり、あるいは虚偽の内容だったりするケースが多いのです。
したがって、信頼できる業者かどうかを判断するためには、会社概要をよく確認して、実際にリサーチしてみることが重要となります。
依頼者本人の身元確認しない
あらゆる鍵を不正手段で開ける技能は、犯罪に悪用される危険な技能です。例えば他人の車を盗む目的で鍵開けやエンジン始動を依頼される可能性だって考えられます。
このような悪用目的の依頼を防ぐために、私たち鍵業者は依頼者本人の身元を確認する必要があります。しかし、悪質な業者は安易な姿勢で依頼を受け入れることも多く、管理会社の許可を得ずに鍵を開けてしまい、トラブルを引き起こすことがあります。
また、身元確認を怠った結果、悪用目的の鍵開けに協力してしまうケースもあるため、そのような業者には依頼しないよう注意しましょう。
まとめ
人や財産の安全に関わる鍵トラブルは、多くの方が慌てて依頼されるケースが多いです。悪質な業者はこの心理につけ込み、高額な費用を請求してきます。
したがって、トラブルが起こっても慌てず冷静になることが大切です。鍵屋の技術サービスは個数や大きさで量り売りできないため、業界内である一定範囲の料金相場があります。
相場から大きく逸脱した高額または低額な料金が提示された場合には、「裏に何かあるのかも?」と疑念を抱くことが重要です。
優良な業者は「お客様の不安を取り除くこと」を最優先に考えますが、悪質な業者はその逆です。不安を煽るような言動が見られた場合は依頼せず、他の業者を検討することをお勧めします。