「誰も住んでいないし、盗まれるものなんてないから大丈夫」

親が施設に入った、相続したけれど住む予定がない。そんな実家の空き家を、そのままにしていませんか。

2026年9月30日、警視庁は東京・文京区の空き家に侵入したとして、男2人を逮捕しました。警視庁によると、都内で空き家を狙った侵入盗は2025年に251件。2021年の約5倍に増えています。

今回は、空き家が狙われる理由と、鍵や見回りサービスを使った対策を、鍵屋の立場から考えます。

隣の解体工事の足場から、2階の窓を割って侵入

報道によると、2人は空き家の隣の住宅で解体工事をしていて、仕事を通じてその家が空き家だと気付いたとされています。

逮捕容疑は2026年7月、仕事を終えたあとに解体中の住宅の2階から空き家の2階へ移り、窓ガラスを割って侵入し、金品を盗もうとしたというものです。物音に気付いた所有者の知人が様子を見に行くと、2人は逃げたといいます。

調べに対し、1人は「空き家なら簡単に入れると思った」という趣旨の話をしていると報じられています。

同じく都内の葛飾区でも、2026年5月に空き家へ侵入したとして、別の男3人が8月に逮捕されています。こちらは窓ガラスを火であぶって割る「焼き破り」という手口でした。焼き破りは大きな音が出にくく、周囲に気付かれにくいのが特徴です。

空き家はなぜ増えて、なぜ狙われるのか

都内の侵入盗全体は、2021年の2254件から2025年は2698件と約2割の増加です。それに比べて、空き家だけが5倍という増え方は突出しています。

背景には空き家そのものの増加があります。全国の空き家は2023年時点で約900万戸と、30年前の約2倍になりました。

よくあるのは、一人暮らしの親が亡くなったり施設に入ったりしたあと、子どもはすでに別の場所に家を持っていて戻らないケースです。解体には費用がかかり、更地にすると固定資産税が上がることもあるため、家はそのまま残されがちです。

こうした空き家には、ホームセキュリティも入っていないことが多いでしょう。住んでいない家に毎月の警備料を払うのは負担ですし、電気を止めていれば機器も動きません。

その結果、家財が残ったまま誰も見ていない家が増えています。「空き家には何もない」と思われがちですが、貴金属や家電のほか、銅線やエアコンの室外機まで盗まれるケースがあり、荒らされた家は放火のリスクも高まります。

空き家の鍵、こんな状態になっていませんか

鍵屋の立場から見ると、空き家の鍵には次のような問題がよくあります。

  • 合鍵を誰が何本持っているか、家族の誰も把握していない
  • 親が近所の人や親戚、ヘルパーさんに渡した合鍵がそのままになっている
  • 植木鉢の下やポストの中に鍵を隠している
  • 玄関は施錠しているが、窓や勝手口、2階の窓は確認していない

特に注意したいのが「2階の窓」です。今回の事件のように、隣で工事が始まると足場ができ、2階にも簡単に近づけるようになります。

また、玄関の鍵が古いままの空き家も少なくありません。古いタイプの鍵は、ピッキングなどの不正解錠に弱いものもあります。

警備会社の「留守宅サービス」という選択肢

「毎月の警備料は高い」という方には、警備会社などが行う空き家向けの見回りサービスもあります。

たとえばALSOKの「HOME ALSOK るすたくサービス」は、月1回巡回して、玄関扉や勝手口、エアコン室外機など屋外の指定箇所に異常がないかをメールで報告するサービスです。郵便受けの整理もしてくれるので、空き家だと悟られにくくする効果も期待できます。オプションでホームセキュリティや換気も追加できます。

ただし、見回りは月1回程度で、外からの確認が中心です。次の見回りまでの間に入られれば、気付くのは後になります。

そこで組み合わせたいのが鍵の対策です。見回りサービスが「異常を見つける」役割なら、鍵は「そもそも入らせない」役割です。鍵交換や補助錠の取り付けは一度の工事で済み、月々の費用はかかりません。

空き家の所有者ができる対策

  • 相続や施設入所で空き家になったら、玄関の鍵(シリンダー)を交換する
  • 窓や勝手口に補助錠を付け、雨戸やシャッターは閉めておく
  • 鍵は植木鉢やポストに隠さず、管理する人を決めて持ち出す
  • 貴重品は置かず、庭の手入れや郵便物の整理を定期的に行う
  • 近所で解体工事やリフォームが始まったら、見回りの回数を増やす

*東京都では、区市町村を通じて、防犯性の高い鍵への交換や補助錠の取り付けなどに補助が出る場合があります(最大3万円)。空き家が対象になるかどうかも含め、補助額や条件は区・市ごとに異なり、予算に達し次第終了するため、早めの確認がおすすめです。

詳しくはこちら:https://starkeylock.com/hojokin/

侵入に時間がかかる家ほど、泥棒はあきらめやすいといわれています。補助錠を1つ足すだけでも「入りにくい家」に変わります。

警視庁の捜査幹部も、空き家に貴重品を置かないことと、空き家だと悟られないよう庭を手入れすることを呼びかけています。

そして今回、犯人を追い払ったのは物音に気付いた知人でした。遠方でなかなか行けない場合は、見回りサービスに加えて、近所の方に「何かあったら連絡を」と一声かけておくのも立派な防犯です。

*空き家の管理や活用、処分については、東京都の「空き家ワンストップ相談窓口」で無料で相談できます。

参考:https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/mado/tokyo

よくある質問

Q1. 誰も住んでいない家でも、鍵交換は必要ですか?

誰が合鍵を持っているか分からない場合は、交換をおすすめします。親が生前に渡した合鍵が、思わぬところに残っていることは珍しくありません。相続や空き家になったタイミングが見直しどきです。

Q2. 留守宅サービスに入っていれば、鍵の対策はいりませんか?

見回りは月1回程度のことが多く、その間の侵入までは防げません。見回りで異常に気付く仕組みと、補助錠などで入りにくくする対策を組み合わせるのがおすすめです。

Q3. 空き家に入られた形跡がある場合は?

中には入らず、まず警察に連絡してください。被害の確認が終わったら、合鍵を作られている可能性も考えて錠前の交換を検討しましょう。割られた窓の補助錠の取り付けや、壊された鍵の修理もご相談ください。

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公開日
2026年10月7日
担当者
須賀 真人